From 網走ニュース 30日
重要文化財を守れ
博物館網走監獄で防火訓練
国の「文化財防火デー」(1月26日)の趣旨に沿った防災防火訓練が、博物館網走監獄で行われた。重要文化財に指定される同施設内にある「教誨堂」から出火したとの想定で、関係者は万が一の際に備えての連携活動などを確認した。
文化財防火デーは、国の文化財に対する愛護意識の向上などを目的に制定。博物館網走監獄は2016(平成28)年に重要文化財に指定されたことから毎年、網走消防署や消防団などと協力した訓練に励んでいる。
今回は、施設開館中に実施。同施設職員からなる自衛消防隊による消防機関へ通報、初期消火、避難誘導のほか、網走消防署と同消防団による消火活動訓練が行われた。
サイレンを鳴らした消防車両が施設内に到着するなどして緊張張感が増す中、消防団員は消防ホースの連結方法などを確認。万が一の事態に備えた消火活動訓練に励んでいた。
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From 網走ニュース 30日
吹雪に注意
網走地方気象台の最新予報
(↑網走地方気象台のHPより)
1月30日午前4時44分に網走地方気象台が発表した予報は次の通り。
~・~・~
網走・北見・紋別地方では、31日にかけて大雪による交通障害に警戒してください。また、ふぶきや吹きだまりによる交通障害、強風、なだれ、湿り雪による電線着雪、高波に注意してください。
北海道付近は、30日から31日にかけて低気圧が北海道の南海上をゆっくりと東に進むため、気圧の傾きが大きくなり、大気の状態が不安定となるでしょう。
網走・北見・紋別地方の30日3時の天気は、雪または曇りとなっています。
30日は、雪でふぶくでしょう。
31日は、雪でふぶく見込みです。
~・~・~
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From 網走ニュース 29日
30日未明から大雪
気象台が注意呼びかけ
網走地方気象台によると、網走・北見・紋別地方では29日夜遅くから湿り雪が降り、30日未明から大雪や吹雪、吹きだまりによる交通障害、強風、なだれに注意するよう呼びかけている。
(▽網走地方気象台のHPより)
<29日午後4時43分発表の予報は次の通り>
29日夜 曇りのち雪
30日 雪で吹雪く見込み
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From 網走ニュース 28日
連載「水谷市長の給料」~静かなる変更~パート2①
他市と比較 「議論の少なさ」如実に
昨年10月に本紙で連載した「水谷市長の給料~静かなる変更~」に対する読者からの意見が、いまだに本紙に寄せられている。市民の関心の高さだと受け止める。連載パート2では、本紙が疑問視するポイントを改めて整理した上で、他市の状況などを通じて、”市民が考えるための材料”を提供できればと思っている。(大・記者)
■おさらい 連載パート1では、水谷市長が一昨年12月1日から、自身の給料月額を「76万円」から条例で定める「95万円」に戻したことを報じた。月額を変更するための「理由」、そして変更する妥当性についての議論の少なさを指摘した。
水谷市長は給料を変更してからの10カ月後、市の広報誌「広報あばしり」で初めて市民に報告。ただ、広報誌では、変更(増額)した理由をまったく説明せず、金額を記した表のみを掲載した。
■他市はどうしてる? 連載パート2ではまず、他市との比較を試みる。比較するためには様々な方法があるが、今回は「実質公債費比率(2017年度決算ベース)」を軸に比べてみた。
実質公債費比率は、地方自治体の収入に対する借金の比率だ。数値が高いほど、台所事情は苦しい―となる。国は「比率25%」を早期健全化基準値としている。
網走市の比率は「16・4%」で、道内の「市」ランキングでは夕張市(73・5%)に次いで2位。つまり、網走の財政はかなり厳しいのだ。
網走に次ぐ3位は赤平市(16・1%)だった。取材してみた。
■10%減額 赤平市は昨年12月、条例(本則)で定める市長の給料月額を、従来の86万円から10%減額の77万4千円に改定した。
条例を改定してまで市長の給料減額に踏み込んだ背景には、人口減少に伴って厳しさを増す財政状況などがある。市長の給料減額を検討するため、「道内にある34市の首長給料などを参考にした上で、総合的に適正な月額を判断しました」(同市総務課)。
同市の人口は昨年9月末時点で93年ぶりに1万人台を割り込んだ(住民基本台帳人口)。
「人口規模」だけで網走市との市長給料を比較するのは筋違い―との批判を受けそうだが、今回は両市の実質公債費比率(収入に対する借金の比率)がほぼ同じ―という点に着目し、取材・比較してみた。
―・―・―・―
赤平市を含む他市への取材で感じたことは、網走市の場合は水谷市長の給料を変更(増額)した根拠がとても乏しく、さらに議論する場所・人・時間が圧倒的に少なかったことだ。
次回は、留萌市(実質交際比率15・2%)の状況などを紹介する。
(連載パート1はコチラ)
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From 網走ニュース 27日
このまちに住み続けるには?
認知症予防教室
(△=昨年の教室=)
認知症についての基礎知識や住民で支え合う地域づくりについて学ぶ、網走市主催の認知症予防教室が2月1日(土)午前9時半~11時、市内エコーセンター2000で開かれる。講師は網走の丘総合病院の藤田力医師で、認知症のケアなどについて講演する。参加無料。
同教室は毎年開催。認知症は誰もが関わる可能性の高い身近な病気であることから、介護を受ける人をはじめ、介護する側も基礎知識を学ぶことで、「住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるためのヒントにしてほしい」(市高齢者福祉係)。
昨年は112人が参加。少子高齢化に歯止めがかからない網走市おいて、認知症に対する市民の関心は高まっている。
申し込みは同係(0152・44・6111)へ。
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From 網走ニュース 25日
第46代流氷パタラ決まる
網走観光をPRする、第46代網走流氷パタラが決まった。4人のパタラは新調された衣装を身にまとい、市内外でのプロモーションなどで活躍する。
新パタラは川村さん、渡邊さん、古谷さん、貫井さん。任期は1年間で、2月8、9日に市内で開催される第55回あばしりオホーツク流氷まつり会場などで網走の魅力をPRする。
新しい衣装は「秋のオホーツク海」をイメージし、深みのある青色を基調にデザイン。ジャケットとスカートには、ウイルタ族の紋様が入っている。
「パタラ」とは、北方民族のウィルタ語で「お嬢さん」「娘さん」の意味。
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From 網走ニュース 24日
網走二中の辻本くん
スケート2種目で大舞台に
網走第二中学校の辻本さんが、北海道中学校スケート大会(1月11~13日、釧路市)男子500㍍と1000㍍で入賞し、全国大会に出場する。全国は昨年に続き2度目の挑戦となる。「決勝に進み上位をめざしたい」と張り切っている。
辻本さんは全道500㍍で4位、1000㍍6位と健闘し大舞台への切符を手にした。今回、男子1000㍍では1~5位を十勝勢が占める中、辻本さんは”オホーツクの意地”を見せた。
満足できる結果を残せなかった昨年の全国大会を教訓に、睡眠時間の確保など日常生活を見直した。また、全道大会のレース前には、ストレッチをいつも以上に入念にするなど、万全を期して臨んだ。
今季は、身長が伸び盛りということもあり、レースで着用するワンピース、そしてシューズを新調した。「全道で好タイムを出せた要因の一つだと思います」(辻本さん)。
スピードスケートは小学校に入る前から始めた。当初は市内の少年団で指導を受けていたが、網走においての競技人口が減少したことに伴い、現在は北見市で指導を受けている。
リンクでの練習は8月から始まり、夏期は市外の屋内スケート場、冬期は北見市などへ出向き汗を流す。近場にレース用リンクがある選手と比べハンデはあるものの、家族の協力などを得ながら日々の練習に励んでいる。
全国大会は今月31日、長野県で開幕する。「コーナーでの足の使い方をさらに改善したい」と、最終調整に余念がない。
「全国大会では最初から全力を出し切り、予選を突破したい。決勝でいい順位になれるよう、誰にも負けないつもりで滑ります」と気合が入り、指導してくれるコーチ陣のためにも好結果を残すつもりだ。
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From 網走ニュース 23日
連載「鼻呼吸してますか?」①
インフルから身を守る
最近、「鼻呼吸」という言葉をよく耳にしませんか? なぜ、鼻呼吸は大切なのでしょうか。口からはじめる健康づくりに取り組む小児歯科専門医・今井香先生(網走市在住)が、わかりやすく説明してくれます。子育て中のママやパパさんをはじめ、働き盛りのサラリーマンさん、健康づくりに励むお年寄りの皆さん、参考にしてください。
小児歯科専門医 の今井先生が解説
夜空にオリオン座が輝くころになると流行するインフルエンザ。それはこの季節の乾いた寒冷気温がウイルスの増殖に好条件だからです。では、そのインフルエンザウイルスから身を守るにはどうしたらよいでしょう?
予防接種、手洗いはもちろん大切ですが、ウイルスの感染力は気温20度以上、湿度50%になると大きく低下することが分かっています。それはウイルスが湿度50%では、わずか数%しか生き延びる事ができないからです。家の中では、温湿度計を置いて管理するとよいですね。
では、屋外ではどうしましょう? マスクでウイルスの侵入を防ぎますか? 残念ながらインフルエンザウイルスは、とても小さく約0・1マイクロ㍍しかありません。それに対してマスクの目の大きさは、その50から100倍(約5~10マイクロ㍍)もありますから、ウイルスはマスク内にやすやすと侵入できるのです。けれど、マスクをすることで、マスク内の湿度が高まりウイルスの増殖を抑えることができますし、くしゃみをした時にウイルスを飛散させないことで予防には役立ちます。
実は、マスクより強力にウイルスの侵入を防ぐ機能が、人には備わっているのをご存知ですか? それが鼻呼吸です。
極寒の乾燥地域で呼吸しても副鼻腔(ふくびくう)という鼻腔に隣接した骨内の空洞が、体内に入ってきた低温の空気を体温の37度近くまで加温し、そして湿度100%に加湿調整する機能があるのです。さらに、鼻腔の粘液と繊毛は、その空気のろ過までしてくれるのです。
この鼻呼吸を作動するスイッチがお口の中の上顎にあります。舌がぴったりと吸い付くことで、スイッチがオンになります。
福岡の内科医の今井一彰先生が考案した、「あいうべ体操」をご存知の方も多いと思います。口を大きく動かして、「あーいーうーべー」と発音してから口を閉じる。そうすると自然と舌は上顎についていますね? そこが鼻呼吸のスイッチなのです。上顎に舌を吸い付けて口を閉じると自動的に鼻呼吸になります。
そして、お口を閉じて鼻呼吸するのと同じくらい大切なのが歯磨きです。それは、インフルエンザウイルスが細胞内に侵入するためにかかせない酵素プロテアーゼを、お口汚れの細菌が作り出しているからなのです。
今夜もオリオン座が、東の空で輝いています。歯磨き、鼻呼吸スイッチを確認しながら、冬の夜空を眺めてみてはいかがですか?
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From 網走ニュース 23日
インフルエンザで学年閉鎖
網走四中の2年生
網走市教委は、インフルエンザで休む生徒が増えた網走第四中学校の2年生を学年閉鎖した。閉鎖期間は1月23~26日としている。
同市教委によると、四中2年生19人のうちインフルエンザ患者は4人(1月22日現在)となっている。
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From 網走ニュース 21日
中村医師の記録映画
25日、網走エコセンで
アフガニスタンで長年、農業用水路の建設など復興に尽力してきた医師の中村哲さんの活動を記録した映画「アフガニスタン 用水路が運ぶ恵と平和」(日本電波ニュース社)の鑑賞会が25日(土)午後1時半から、網走市のエコーセンター2000で開かれる。定員40人。参加料は小学生以上400円。
中村さんは昨年12月、アフガニスタン東部のナンガルハル州を車で移動中に何者かに銃撃され、死亡した。訃報は国内外のメディアで報じられ、生前の活動が改めて評価されている。
記録映画は2部構成。中村医師が干ばつとどのように闘ってきたのか、その軌跡をたどり、用水路がどのように作られたのかも記録している。
鑑賞会は、網走市民からなる「緑の大地上映実行委員会」の主催。同実行委は「網走市民にも中村さんの想いを知ってもらいたい」と、参加を呼びかけている。
問い合わせは同行委(0152・45・2176)へ。
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From 網走ニュース 20日
「長イモ研究」今年度で終了
人口減少対策、水谷市長が力入れ
4500万円投じ、新たな活用策探る
人口減少対策の一環として、網走市が中心となって進めてきた地場産長イモの高付加価値を見出す調査・研究は、今年度で終了することがわかった。水谷市長の肝入り事業として、国の地方創生推進交付金を活用して3カ年にわたり進めてきた。投じた事業費は延べ4500万円。今年3月中には、調査・研究の主体機関「農産物高付加価値化推進広域協議会」(会長、網走市観光商工部長)により結果報告を含む提言書がまとめられるという。
調査・研究は「地域連携長いも高付加価値化推進事業」として、2016(平成28)年度にスタート。大空町と東京農大網走、地元農協と連携して進めている。水谷市長は「人口減少のインパクトの緩和」策の一つとして、地場産長イモの研究、海外輸出に力を入れてきた。
これまでの調査・研究では、規格外などで”ハネ品”となった長イモ(年間200~300㌧ほど)の有効活用に主眼を置き、長イモに含まれる成分(インフルエンザに効果があるとされるディオスコリンなど)長所を生かした家畜への抗ウイルス調査などに取り組んできた。また、長イモからディオスコリンを抽出する方法を開発し、特許を取得するなど、あらゆる可能性を模索してきた。
市職員らを対象にしたアンケート調査も実施。すった長イモの利用価値などを探り、「ラーメンやうどんなどの食材として人気が高かった」(市農林課)。粉末状にして利用した際の反応も調べたという。
4カ年の調査・研究に投じた総事業費約4500万円のうち、8割は研究所などへの委託料(表参照)。委託した企業の1社は、製薬会社などへの”売り込み”を担っており、その結果は今年度内に判明するという。
市によると、同協議会は今回の調査・研究を踏まえた上で、今後、同様の事業を進めるための提言書をまとめるという。
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From 網走ニュース 16日
「おーろら」準備OK
船体が到着 予約は前年並み
網走の冬季観光の主役を担う、流氷観光砕氷船おーろらが、20日に今季運航を開始する。2隻の船体は先日、乗船ターミナルとなる同市内道の駅そばの岸壁に到着。運航する道東観光開発株式会社によると、予約状況はほぼ前年並みで、肝心の流氷は順調に南下している。関係者の期待は膨らんでいる。
流氷観光砕氷船「おーろら」「おーろら2」は11日、釧路市での点検を経て網走に到着。同社によると、昨年12月末時点で23万3040人の予約が入っており、前年とほぼ同様に推移し、このうち外国人旅行者は3割を占める。タイからの予約増加が目立ち、昨年比2倍以上の約2800人となっている。
札幌管区気象台が今月10日に発表した北海道地方海氷情報によると、オホーツク海南部の海氷は網走市の北約60㌔まで南下。今後1週間の予想では、北または西の風の吹く日が多いため、オホーツク海南部の海氷は引き続き南下し、「しだいにオホーツク海側沿岸に近づく」としている。
網走に到着した2隻の流氷砕氷船は今後、海保による運航検査や安全祈願祭などを経て、出番を待つ。同社は「あとは流氷を待つばかりです」と、網走への冬の使者・流氷の到着を待ち望んでいる。
今冬の網走は記録的な雪不足の影響で、冬の一大イベント「あばしりオホーツク流氷まつり」が、当初4日間の予定を2月8、9日の2日間に短縮するなど前例のない対応を余儀なくされている。こうした状況の中、市内の観光関係者を含む経済界は、流氷の到来に伴った流氷砕氷船が順調に運航することに大きな期待を寄せている。
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From 網走ニュース 14日
スケルトンで日本代表に
南高の臼井くん
スイス・ローザンヌで開催される第3回冬季ユースオリンピック2020男子スケルトン日本代表に、網走南ケ丘高校の臼井貴将さん(2年)が選ばれた。同校での壮行会では、「メダルを持って帰れるよう頑張りたい」などと声を弾ませていた。
ユース五輪は、14~18歳のユース世代を対象に4年に一度開催されるスポーツの祭典。臼井さんの出場する男子スケルトンのレースは、1月20日に行われる。
スケルトンは、氷で造られたコースをそりで滑り降りタイムを競う。リュージュやボブスレーとは異なり、頭を前にして腹ばいになって乗る。ハンドルやブレーキはなく、スタートダッシュやコース取りなどが重要となる。
臼井さんは大空町東藻琴出身で、スケルトンは中学時代から始めた。身長185㌢、体重85㌔で、長い手足など外国人選手にも引けを取らない体格が持ち味。「スタートダッシュが長所の一つです」(臼井さん)。
今季、日本人選手のユース五輪出場枠は2人(男子スケルトン)。切符を手にするためには、予選となる8つの国際大会で高ポイントを得なければならない。予選大会の総合順位は4つの大会の合計ポイントで決まり、臼井さんは205ポイントで7位とベストテン入りし、同時にユース五輪切符を手にした。
同校での壮行会では、臼井さんの所属する陸上部のメンバーら約50人から祝福と激励を受けた。陸上部主将で同じ東藻琴出身の古川周志さん(2年)は「メダルと一緒に帰ってきて」と声をかけると、互いに手を合わせて気持ちを通わせていた。
臼井さんは「予選では転倒するなど失敗もあった。ユース五輪ではドイツやロシアなどの強豪選手にしっかり勝ち、メダルを持ち帰れるように頑張るので、応援よろしくお願いします」と、大舞台での活躍を誓った。
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From 網走ニュース 14日
連載「消された横断歩道」完
撤去の根拠「歩行者少ない」
市内大曲地区の市道・山下通線にあった押しボタン式信号機を撤去した理由(根拠)の一つに、網走署は「歩行者の少なさ」を挙げる。また、信号機を新設しない理由については「設置・維持費の負担」などとする。人口減少、財政難―。小さなまち網走において、この壁を乗り超えるために必要なことは、行政と市民が互いに敬意を払った上での十分な議論だと、取材を通して感じた。 (大・記者)
(↑大曲地区から移設された手押し式信号機(南2条の道道・網走港線)
■調査 網走署は今年8月下旬、押しボタン式信号機があった市道・山下通線の1日の交通量(車両台数)と歩行者数を調査した。登校時間や通勤時間と重なる「午前7時半~8時半」の交通量は約300台と多かった一方、歩行者は10人。1時間平均だと車両160台、歩行者は4・5人だった。
この調査からは、交通量は多いいものの歩行者は少ないことがわかる。同署はこうした理由からも、信号機の撤去・移設を決定した。
■維持費 はたして、信号機の”お値段”はいくらなのか?
押しボタン式信号機の場合(道路の両脇に1基ずつ)、「300万円から400万円ほどかかるそうで、設置にかかる工事費はこの価格に含まれてはいないそうです」(同署)。信号機の新設に係る費用は決して安価ではないようで、維持費の詳細は調べきれなかったが、「電球交換などのメンテナンス代、電気代など安くないはずです」(同署)。
同署はこうした事情も踏まえ、署管内にある2基の1灯式信号機を撤去することを決めている。
―・―・―・―
山下通線は市街地と比べ交差点や信号機が少ないため、ドライバーにとっては走りやすい道路だ。大型トラックもひんぱんに行き交う。
撤去された押しボタン式信号機付近の道路は勾配があり、「背の低い子どもは通行車両を発見しにくいこともあるはず」(男性住民)。記者も同感だ。
信号機を新設しない―という方針は理解できる。ただ、歩行者は少ないが、交通量は多いといった今回のようなケースだと、横断歩道は残しておくべきではなっかったろうか?
人口減少社会は、様々な課題を浮上させる。今回の信号機撤去はほんの一例で、記者は日々の取材の中で「高齢者宅の除雪・ごみ出し」「中学校にある部活動の廃部・休部」問題などにふれる。
行政(役所、警察、学校など)、そして住民(児童や生徒、学生含む)相互による丁ねいな、時間をかけた「議論スタイルの構築」がそれらの解決策の一つだと感じた。
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From 網走ニュース 9日
スケート場オープン
“シバれ”続きリンク最高
網走市営スケート場(大曲2丁目)が今季利用開始となった。冬休み中の小学生や家族らが訪れ、久しぶりの氷の感触を楽しんでいる。
1周400㍍で、中央部分には初心者も気兼ねなく滑られる広いスペースを設けている。同スケート場によると、リンクづくりは先月に本格化し、1月に入り冷え込みに厳しさを増したことからリンクコンディションは最高だという。近年は市外からの利用者が増え、観光客が訪れることもある。
オープン初日は家族連れなどが目立った。斜里町から親子で訪れた小学生の女の子は、練習の椅子を押しながら軽快に足を運んでいた。
無料で利用でき、平日は午前9~午後8時、日曜・祝日は午前9~午後5時まで。貸しシューズあり。刃を研ぐサービスもある。
昨季(2018年12月29日~19年3月1日)は3745人が利用。近年は年間3千~4千人前後で推移している。
問い合わせは同スケート場(0152・43・6979)へ。
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From 網走ニュース 8日
豊漁願い、威勢よく初競り
網走地方卸売市場
網走地方卸売市場で5日、初競りが行われた。初競り神事で網走漁協の組合長が「3年、5年というスパンの中で先を見据えた水産業のあり方を模索していきたい」などと新年あいさつをしたあと、水揚げされたばかりのタラなどが競りにかけられた。
初競り神事には、関係者約100人が出席。新谷組合長は「昨年の秋サケ漁は大不漁という結果に終わった。反面、ホタテは過去最高の1万8500㌧の水揚げがあった。新しい手応えを感じた1年だった」と振り返った。
初競りでは、タラが1箱4300円~4500円で取り引きされた。この日は、しけの影響でキンキ漁などは行われなかった。
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From 網走ニュース 6日
連載「消えた横断歩道」その2
”現場”との意思疎通が重要
「事前に詳しく説明しておけば…」
網走市大曲地区の市道・山下通り線の押しボタン式信号機と横断歩道が撤去されたことについて取材を進めると、関係者(機関)相互の認識のズレを感じた。網走署や撤去対象となった町内会側に、恣意的な考えがあったようには感じなかった。ただ、撤去議論の中心に信号機と横断歩道を利用する住民が不在だったことは確かなようだ。(大・記者)
(↑信号機の再配置の検討を進める網走署)
■素直に反省 山下通り線の押しボタン式信号機と横断歩道は、今年10月に撤去され、信号機は道道・網走港線 南中央通りに移設された。主な撤去理由は、利用者が少ないことだ。
撤去を検討し、準備を進めてきた網走署。撤去後、戸惑う住民の声を聞いた本紙の取材に対して同署は「(住民には)事前にもっと詳しく説明しておけばよかったと感じている」と、率直な姿勢を示してくれた。
ただ、横断歩道も一緒に撤去した理由については、歯切れが悪かった。取材した記者は、北海道警察という巨大な組織は、今回のような「小さなまちの少数市民の声」にきめ細かく反応できなかったのではないかと推測する。
■再設置は可能か? 取材で集めた住民の声の大半は、「横断歩道まで撤去されるとは思わなかった」である。男性住民は「横断歩道の利用者の中には子どももいる。登下校する際、交通量の多い山下通りを横断するのは危険だ」と指摘する。
大曲地区を通る市道・山下通り沿いに並ぶ住居は、道路を隔てて「天都山側」と「市街地側」に分かれる。「天都山側」の子どもが通学する際、山下通りを横断しなければ、かなり遠回りすることになってしまう。
「通学する子どもを含めた住民の安全を守るために、横断歩道の再設置は不可能でしょうか?」。記者の問いに対し、同署は「交通量の多い道路だと認識している。住民の要望を踏まえ、必要であれば再び設置する方向で検討したい」との考えを示してくれた。
―・―・―・―
信号機の撤去について、網走署が対象となる町内会に説明したことは事実だ。同署はこの時点で、住民の同意を得たと受け取ったようだ。しかし実際には、広く住民に参加を呼びかけた説明会は開催されていなかった。
同署から打診を受けた町内会側を一方的に責めることも難しい。町内会役員はボランティアで任を担っており、今回のケースにおいては、限られた時間の中で住民の総意をまとめる役目は少し重いように感じた。
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From 網走ニュース 4日
連載「消えた横断歩道」その1
山下通り線の押しボタン信号機
網走市の市道・山下通りにあった押しボタン式信号機が撤去され、道道・網走港線 南中央通に移設された。伴って、押しボタン式信号機のそばに設置されていた横断歩道も消された。道は人口減少社会を見据え、今後は信号機の新設を控え、再配置によって対応する方針という。ただ、信号機と横断歩道が”セット撤去”されたことについて、付近住民は「私たちはまちに見捨てられた気分です」と肩を落とす。詳細を調べてみた。=3回連載= (大・記者)
(↑撤去され姿を消した大曲地区の山下通り線)
■複雑な心境 山下通りは国道39号に平行するように通り、道路からはJR網走駅などを近くに見ることができる。今回、撤去されたのは大曲地区に設置されていた押しボタン式信号機と横断歩道だ。
「警察に言えばいいのか、市役所なのか、道の機関なのか、どこに相談していいのかわからないのです」。先日、本紙網走支店を訪れた男性市民は、複雑な心境を記者に打ち明けてくれた。
男性の主な悩みは、①信号機と横断歩道を利用する地域住民が撤去の議論に加われなかった②なぜ横断歩道も撤去されてしまったのか③横断歩道を改めて設置することは不可能なのか―である。
■撤去の経緯 市内で利用者の少ない信号機の撤去・再配置の議論は、網走署を中心に以前から進められていた。背景には、人口減少を見据えた既存の信号機の有効活用についての議論が、全国的に本格化したことがある。
同署によると、今後は同署管内において信号機の新設計画はない。ただ、市民の安全を守るため、既存の信号機の再配置を効果的に進めていく考えだ。
こうした状況の中、同署は昨年12月、利用の少ない信号機をリストアップし、対象となる町内会単位に撤去の可否を打診、回答を得た。そして、今年10月下旬、大曲地区の撤去工事が行われ、押しボタン式信号機と横断歩道が姿を消した。
―・―・―・―
この連載は「誰が悪いのか」という犯人探しがテーマではない。人口減少社会の到来に伴って起こりうる問題の一例として、押しボタン式信号機の撤去を取り上げた。
取材を通じて、様々な課題が浮かび上がった。網走において、信号機の撤去は今後も進められることは確実だ。大曲地区のケースを教訓に、網走がさらに住みよいまちになることに期待している。
次回は、横断歩道も撤去された理由、再設置の可能性などについて紹介する。
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From 網走ニュース 3日
あの時、あんなことが…
懐かし写真で「子年」を振り返る
今年は「子年」。過去の子年に起きた網走市の出来事を、網走市発行の冊子「市史年表」を基に振り返ります(一部、国内外の大ニュースも含みます)。※掲載した写真はすべて<網走市市史編さん室収蔵写真>です~ (大・記者)
【昭和35(1960)年】
(↑網走消防署の出初め式)
▽1月1日=網走神社の初詣に2万人
▽2月14日=網走電報電話局、ダイヤル式に切り替え
▽2月28日=市営三角山スキー場落成記念スキー大会
▽3月23日=網走市制作「オホーツクの花ごよみ」全国観光映画コンクールで優秀賞受賞
▽4月1日=網走~北見間電話即時通話
▽同18日=網走でスケソウの冷凍すりみ生産開始
▽同30日=ソニー、世界最初のトランジスタテレビ発売
▽6月30日=NHKテレビ、網走放送所を天都山に設置と決定
▽7月4日=網小に小児マヒ発生
▽同11日=元網走町長の山内鉄蔵氏(85)、札幌で死去
▽8月10日=東映シネマ(川向)開館
▽9月10日=NHK、カラーテレビ放送開始
▽11月22日=網走湖畔の温泉ボーリング成功
▽12月1日=網走駅前郵便局が開局
▽同19日=村上儀蔵氏、市立図書館新築費に500万円寄付
(↑網走電報電話局の施設)
(↑出初め式でお披露目された消防車「市民号」)
【昭和47(1972)年】
(↑網走駅前に設置された開基100年・市制施行25周年の広告塔)
▽1月8日=スケートリンク(旧網走湖)、今年から陸上に切り替え、市営総合グラウンド陸上競技競技場に造成。初滑り
▽2月1日=郵便料金改定(はがき10円 書簡20年に)
▽2月3日=札幌オリンピック冬季大会開会式
▽同19日=連合赤軍人質とり浅間山荘に立てこもる
▽3月1日=電報料金改正
▽5月22日=ニクソン大統領、米国大統領として初の公式ソ連訪問
▽6月17日=佐藤栄作首相が引退表明(7年7カ月の長期政権)
▽7月5日=自民党総裁に田中角栄氏が選出
▽同=協同組合アサイチ総合店舗完成し開業(車止内川の朝市問題解決)
▽9月5日=網走電報電話局に管内初の10玉両替機設置、始動
▽同23日=網走学園網走高校開校25周年記念式
▽9月=市でゴミ袋(1世帯月5枚)の無料配布開始
▽11月12日=網走バス市内路線すべてをワンマンカーで切り替え、南4条通り運行を6条通り運行に変更
(↑夏まつりの音楽パレード=南4条通り=)
(↑札幌オリンピック冬季大会・国内聖火リレー網走出発式=市役所前=)
(↑国内聖火リレー網走出発式)
【昭和59(1984)年】
(↑無人駅になった北浜駅)
▽1月31日=昭和44年に新町に移転した貨物専用「浜網走駅」、73年の歴史に幕
▽2月29日=北浜駅(大正13年11月15日開業)の出改札業務中止、無人駅となる
▽4月3日=記録的な流氷で漁船出漁できず
▽同6日=網走厚生総合病院で眼科開設
▽同16日=天都山展望台わきに二ポポ像と観光案内板、温度計設置
▽同21日=市民プール開所式、記念無料開放
▽同22日=オホーツク流氷館オープン
▽8月8日=市営鱒浦海水浴場が閉鎖
▽9月4日=網走刑務所の新舎房完成。鉄筋コンクリート3階建て、総工費8億4600万円
▽同29日=市議会は市職員のヤミ手当て問題で市長3カ月間10%減給処分を可決
▽10月31日=インドでガンジー首相暗殺、新首相に長男ラジプ氏就任
▽11月1日=1万円、5千円、1千円札の新札発行、網走には同2日からお目見え
▽12月2日=NHKドラマ「破獄」、博物館網走監獄などでロケ
(↑当時の網走駅前の様子)
(↑市営レークビュースキー場での安全祈願祭)
(↑完成オープンした市民プール)
【平成8(1996)年】
(↑オホーツク水族館のシーズンオープン式)
▽1月20日=インターネットで流氷情報発信始まる
▽2月6日=クリオネ記念切手、全国で一斉発売
▽同12日=網走に何度か足を運んだことのある作家・司馬遼太郎氏が死去
▽3月25日=網走駅にJT旅行センター「ツインクルプラザ」開業
▽同28日=インターネットに開設したホームページの網走港の流氷情報アクセス件数がは2922件
▽4月17日=網走を紹介した英語版ビデオでいる
▽5月12日=オホーツク夏まつりの流氷おどりにディスコ調導入決まる
▽6月9日=能取新港でゼロヨン見物の乗用車が衝突、2人死亡
▽7月1日=網走~釧路間の都市間バス臨時運行開始
▽7月3日=八坂の市廃棄物処理場でフロン回収時事業始まる
▽9月14日=東京ドームでの巨人―ヤクルト戦での「北海道流氷ナイター」入場者に「網走かにラーメン」配りPR
▽9月25日=出願中の「流氷の天使クリオネ」の1部に商標登録が認可
▽10月9日=網走沖で13年ぶりサンマの大漁
▽11月5日=網走青年会議所制作のビデオ「威風流流―網走川は今」の完成試写会
▽11月20日=JASは流氷期間中の女満別~福岡線の週3便運航を決める
(↑NHKラジオ体操会)
(↑市民スケート教室)
(↑JASの女満別―新潟線の開設式)
【ニュース】1月TOP
From 網走ニュース 2日
盛り上がったラグビーW杯日本大会
「合宿地網走」で地元協会がPR活動
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会に出場した、日本代表とフィジー代表チームが事前合宿した網走市。世界的ビッグイベントのW杯を機に、地元の網走ラグビー協会をはじめ市内団体や市民らは、W杯開催までの約1年間にわたって”あの手この手”でPR活動を展開しました。日本代表の躍進に伴ったラグビー熱が冷めないうちに、網走ラグビー協会などが取り組んだPR活動を振り返ります。 (大・記者)
(↑昨年8月、女満別空港に到着した日本代表)
□網走っ子の想い 網走ラグビー協会は網走市教委の協力を受け、市内の9小中学校に日本代表とフィジー代表チームへの応援メッセージを書き入れる旗を巡回。完成した料チームの応援フラッグは、網走合宿中に関係者に手渡された。
網走っ子による応援メッセージが書き込まれた日本フラッグは昨年8月18日、日本代表選手が女満別空港に到着した際、空港ロビーに掲げられ、”おもてなしムード”の演出にひと役買った。
□冬のイベント 昨年2月9~11日に開催された、 網走の冬の一大イベント「第54回あばしりオホーツク流氷まつり」の会場に登場した、「ラグビーW杯PR&ジャパン・フィジー応援ブース」。網走青年会議所と網走ラグビー協会がコラボしたブースで、網走市教委の協力を得て実現した。
ブースには同協会員が3日間とも常駐。オリジナルのPRチラシやバッジを無料配布したほか、日本代表とフィジー代表に関するパネルを展示した。
ブーステント横に設けたキック体験コーナーには、同協会がプラスチック管を利用して作ったミニゴールポストを設置し、子どや外国人観光客らに楽しんでもらった。
キック体験は、市内の西コミセンで同2月3日に開かれたイベント「わくわく冬まつり」にも登場し、子どもたちを喜ばせた。
□スポトレで 昨年5月25日、網走スポーツ・トレーニングフィールドで網走合宿中のサントリーと神戸製鋼の練習試合が行われた。同協会はこの練習試合をPRの好機と捉え、網走市教委や各チームの了解を得て、ゲームグラウンドの横でPR活動に取り組んだ。
流氷まつりと同様、テントブースではPRチラシや缶バッジを無料配布したほか、過去のW杯映像を大型モニターに映した。
また、同協会オリジナルの記念Tシャツが初めてお披露目され、市民に提供。、このオリジナルTシャツはテレビ局や新聞社、雑誌などが度々取り上げ、「作った約350着はほぼ売り切れました」(同協会担当者)
□Tシャツ 同協会のオリジナルTシャツのデザインは、協会メンバーが考案。表に「GO FIGHT WIN」(行け!戦え!勝利のために!)との文字を入れ、裏には日本代表とフィジー代表への応援メッセージを入れた。
大会の公式ロゴマークや関連する文言の利用が厳しく規制される中、”ルールを犯さない”よう知恵を絞った結果のデザインだった。同協会によると、約350枚製作したうちの約150枚は、市内小学校のタグラグビーチームに所属する児童に無料配布。日本代表が網走合宿中に行った、網走小学校での交流会(昨年8月24日)に参加した児童のほとんどは、このTシャツを着用し、選手たちを喜ばせた。
□夏まつり 網走の夏の一大イベントの一つ「あばしり夏まつり」。商店街アプト・フォーを歩行者天国にしたイベントで、初日(昨年7月24日)に開催された納涼ビール祭り会場に、フィジーブースがお目見え。
同ビール祭りを主催する網走社交飲食業組合の協力で、同協会が出店。市内酒販店を通じてフィジー産ビールを輸入したほか、地元の人気居酒屋店オーナーが発案したフィジーシチューを安価で提供した。
このほか、夏まつり恒例の「流氷踊り」(市民が踊りながら練り歩く)では、市民グループ「二ポネ応援プロジェクトチーム」と一緒に同協会メンバーが「日本代表とフィジー代表が網走で合宿します」などと書かれたビッグサイズのポスターを掲げて行進し、沿道の人たちにPRした。
□顔出し看板 昨年7月、市内にある道の駅「流氷街道網走」ロビーに、ラグビーw杯をPRする顔出し看板が設置された。同協会の発案で、デザイン仕上げは趣旨に賛同した女性市民がボランティアで協力。この看板の写真は、網走市議会の広報誌(昨年8月発行)の表紙にも採用されたほか、NHKのテレビニュースでも大々的に紹介された。
同協会理事は「看板の設置を即断即決してくれた網走市観光協会(道の駅の指定管理者)やデザイン作成に快く協力してくれた市民など、大勢の人達の善意でPR活動を継続できました」と感謝している。
【ニュース】1月TOP
From 網走ニュース 1日
ヒグマ調査、何がわかった?
小型カメラ設置 出没ルート絞り込む
近年、住宅街などへのヒグマの出没が相次いでいることから、網走市は昨年4月からクマの移動ルートなどを探る本格的な調査を進めている。山林に自動撮影カメラを設置するなどし、これまでの調査では興味深い結果が得られた。これまでに人的被害はないことが幸いだが、今後はヒグマと人間との共存について市民の関心を高められるかがカギとなりそうだ。(大・記者)
(↓自動撮影カメラに収められたヒグマ)
■特徴 市はヒグマの生息実際調査として、今年度当初予算に60万円を計上。ヒグマの生態に詳しい知床財団に委託し、進めている。主な調査内容は①DNA分析による出没するヒグマの個体特定②出没ルートの解明―だ。
①は、ヒグマの残した糞や肉片などから採取したDNAを基に、市内各地に出没するヒグマの頭数などを把握したい考え。例えば、市内A地点で採取したDNAと、市内B地点でのDNAが一致すれば、同一個体と判断でき、ある程度の出没ルートも絞ることができる。
②は、市内数カ所に小型カメラを設置し、ヒグマの動向をチェックする。カメラに収録した画像を基に出没ルートをある程度把握できれば、効果的な人的被害の防止策や捕獲などにつながる。
(↓カメラに収められたヒグマ)
■カメラの前に… 調査に用いた自動撮影カメラの台数、場所は公表されていないが、市は過去の出没地点などを基に設置したという。そのカメラには数々のヒグマが姿が収められていた。
これらの画像などを通じて、様々なことが明らかになってきた。
例えば、「網走市と小清水町にまたがる濤沸湖沿いの山林では7~8月に複数頭のヒグマが自動撮影カメラによって撮影され、主要な移動経路として(濤沸湖沿いの山林を)使用していること、1頭だけではなく少なくとも複数頭が同所的に生息していることが明らかになった」(市の担当者)。
また、「昨年8月24日を最後にヒグマの姿が自動カ撮影カメラに写らなくなったことから、同所の利用頻度は夏以降に大幅に下がると推測された」
■地理情報システム 調査には大空町なども協力した。網走市、大空町、美幌町のヒグマ出没情報を地理情報システムで解析した結果、「4~5月にかけて藻琴山方面から網走東部方面へ市境を超えて徐々に移動してくる状況を確認できた。
カメラ分析を含め、春から夏にかけて網走市東部には予想していたよりヒグマが生息していることがわかった。今後もこのような状況が続くことが予想され、農業被害の増大が懸念されている。
■天都山へも 網走市東部のほか、住宅街もある天都山方面への侵入もある。「周辺住民への人的被害、果樹や家庭菜園、一般ごみを食べて居つく―などのトラブルも想定され、警戒が必要になります」(市の担当者)
こうした状況を踏まえ、市は知床財団の助言を受けながら、天都山方面へのヒグマの侵入を防ぐ策を検討するという。また同様の調査は来年度以降も継続することを検討している。
■出没件数 市のHPでは、過去のヒグマ出没場所などを紹介している。
出没件数は、2014(平成26)年度が15件、15年度18件、16年度26件、17年度35件、18年度28件となっている。19年度は10月29日現在で16件だが、出没件数は増加傾向にある。
市は箱わななどを仕掛ける対策を講じるが、現在のところ有効策は見つからない。ただ、昨年は1頭、一昨年は2頭を駆除した。
■住み分け 知床財団などヒグマの生態に詳しい関係者は、「ヒグマと人間の生活エリアを互いに侵さないことが重要」と口をそろえる。まずは、ヒグマを人間の生活エリアに近づけさせないことだ。
道庁のHPには「ヒグマとの共存のために」とした関連ページがあり、遭遇した場合の対処法を紹介している。次の通りだ。
【クマを近づけないため、残飯、生ごみの適正処理を】=クマにとっておいしいごちそうとなる残飯・生ごみ。いったんゴミの味を覚えると、何度も繰り返し出てくる。普通クマは人間を避けるが、ゴミによって引き寄せることになるかも…。残飯・生ごみの野外放置、埋めることは危険です。
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